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「あ〜、しんど。なんで一係の捜査をアタシらが手伝わなアカンねん」

弐係に帰ってくるとすぐ彩がだるそうに叫んだ。

「何であいつらあんなに手際悪いんだよ。ホントにあいつらに日本任せていいわけ?」

「あんなんやから、継続事件が増えるんちゃうの〜?」

「まあまあ、姐さん、真山さん。安心してください。

どんだけ継続事件が増えてもワシがいれば一発で解決や!!」

「・・・お先真っ暗だな」

「ホンマ、怖い世の中や〜」

口々に文句を言いながら、真山と金太郎も弐係に入ってきた。

 

 

「あ、お帰りなさい。皆さん」

近藤がメンバーに声を掛けると、高野がすっと立ち上がった。

「はじめまして、高野進と言います」

礼儀正しく、頭を下げる。

 

「・・・誰?」

真山が隣にいた彩に聞く。

「またアンタ人の話聞いてへんの〜?研修生が来るっちゅーて言うとったやんか」

「ワシの才能を妬んで、上が送ってきた刺客やな〜?」

「…はいはい」

高野を置いてけぼりにして話が脱線していく。

見かねた近藤が、高野を紹介した。

「皆さん、今日から研修に来た高野君です。仲良くしてあげてください」

なんだか転校生を紹介する保育園の先生のようだった。

「私、木戸彩です。よろしく〜」

一歩出遅れたとは言え、やはり隙のない彩が高野の前に一歩、歩み寄る。

「遠山金四郎13代目の末裔、遠山金太郎や!まー、何でもワシに聞きや〜」

「下ができたからって威張るんじゃねえよ」

真山が冷静につっこんで金太郎の頭をべちんと叩いた。

「・・・真山です、ヨロシク」

そして、それだけを無愛想に言った。

 

 

「高野です。よろしくお願いします」

もう一度言って、高野がお辞儀をした。

「エエ子やな〜、アンタ」

彩がいたく感動している。

「自分、キャリアやろ?どこ出身?」

もうターゲットにしたのか、彩が聞いた。

「僕ですか?東京大学です」

「え?東大?ホンマに〜?」

彩のテンションが上がり、金太郎がすぐに寄って来た。

「なんやと〜?」

相変わらす、東大出身に過敏な反応をする。

 

近藤と、彩と、金太郎。

三人が高野を囲んで盛り上がっている。

一方で真山は、興味がないとでも言いたげに自分の席に座って、爪を切り始めていた。

 

「あのー、僕・・・」

「何?何でもわからんことあったらアタシに聞きや〜」

高野の言葉を、猫撫で声で彩が遮った。

「僕、柴田さんに会ってみたかったんだけど、今はここにいらっしゃらないんですよね?」

高野が何気なしにそう言った。

 

一瞬で空気が止まり、彩がゆっくり真山の方を見る。

「真山さ〜ん、柴田に会いたいんやって〜、この子」

その言葉を聞いて、真山もゆっくりと顔をあげた。

「無理でしょ?」

それだけ言うと、また真山は爪を切る。

 

「・・・やって。諦め?」

彩がなだめる様に高野に言った。

「はい・・・」

なんとなく腑に落ちなかったが、高野は頷いた。

 

視界の端でもう一度真山を見たが、真山はただ無表情に爪を切るだけだった。

 

 

 

 

 

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