匂い

 

 

八年前、殺された人と同じ場所に寝転ぶ。

こうする事で、殺された人の気持ちがわかるわけではないが、こうしてみないとわからないこともあるのだ。

 

コツコツコツ

足音が、聴こえる。

どこか気だるそうな音。

 

目を瞑る。

今度は、匂い。

もう慣れてしまった、煙草の匂い。

・・・あの人の匂い。

 

ばしっ

頭に、軽い衝撃。

少しイタイ。

 

「何してんの?轢かれるよ、車に。」

そして、声。

低くて、少し掠れた声。

でもとびきり甘く、優しく感じる。

 

 

貴方が煙草を吸っていてくれて良かった。

 

はじめは隣にいる人が煙草を吸うのはとても嫌で、苦手で。

でも最近思う。

煙草の匂いで貴方を感じる。

貴方が近くに来ると、私も同じ匂いに包まれる。

まるで、貴方に包まれている様。

 

貴方は、私を優しく包んではくれないでしょう?

 

だから、貴方が煙草を吸っていてくれてて、本当に良かった。

 

 

また今日も、隣には貴方の煙草の匂い