62:母子手帳

 

 

 

「残念やったなぁ、真山さん」

「・・・何が?」

「子供に決まってるやん。柴田との愛の結晶ってヤツ?」

「なんで木戸が知ってんだよ」

「なぁなぁ、デキてたとして、どっちが欲しかった?」

「は?」

「子供にきまってるやろ。男と女どっちがええ?」

「…知るかよ」

「思い描いたりはせぇへんの?自分の子供とか」

「するかよ。俺は今この時間楽しく生きれればオッケーなの。だからあっちいって?ね?」

「うっわ。最低やな…柴田、アンタはどっちがええ?男と女」

「えー?私ですか?私は、男の子が欲しいですね〜」

「オトコ?意外やなぁ…アンタ女の子って言うと思ったわ」

「そうですか〜?でも、小さい頃からあこがれてたんですよ。男の子のお母さん」

「はー」

「出来れば、だんな様にそっくりな子がいいです」

「だんな様にそっくり?」

「・・・こっちみないでくれる?」

「だんな様にそっくりなかわいい子供を大切に育てるんです・・・うふふふ」

「多分、その子めちゃめちゃかわいないでー」

「俺見て言うなよ」

「かわいい子供と素敵なだんな様に囲まれた生活・・・ワンダフル!!」

「素敵な旦那・・・思い込みっちゅうのは怖いなー。なぁ、真山さん」

「俺に同意を求めるなよ」

 

「えーと、彩さんはどちらがいいですか?男の子か女の子」

「そうやなぁ・・・アタシも男の子かなー」

「彩さんもですか〜」

「・・・どうせヨコシマな事でも考えてんだろ」

「まず、このアタシの遺伝子を受け継ぐわけやろ?どう考えてもいい男になるがな」

「出たよ、自信過剰」

「そこで、アタシが女心というもんを一から叩き込んでやなぁ…」

「出たぞ、木戸の企む顔。金の匂いだ、金の」

「目指すはホストや。ナンバーワンや。そんで子供の金で一生楽してくらすんや。ええやろ?」

「・・・なんだかすごいですねぇ」

「どうでもいいけどさ、子供の襟足だけを伸ばすのは絶対やめろよな」

「女の子もめっちゃかわいくして一緒に買い物とかもええよなぁ」

「いいですねー。おそろいのお洋服なんて着て」

「・・・お前とおそろいはかわいそうでしょ」

「でもなぁ・・・出産はいろいろ大変やっちゅーやろ?両方産むのしんどいやろか?」

「そうですねぇ・・・あ、双子なんてどうでしょう?」

「あのさ、そんなに都合よく双子が出来るわけないじゃん」

「双子かー。それもええけど・・・ん?なぁ、シバタ」

「はい?」

「あのさ、結婚したら警視庁から祝い金でるやん?20万」

「あ、はい。そうみたいですね〜」

「子供は?子供生まれたら金って出んの?」

「さぁ・・どうなんでしょう?近藤さんに聞いてみないと・・・」

「何?何だよ、金の話かよ。俺も入れろ」

「あんな、真山さん。子供生まれたら警視庁から祝い金って出んの?」

「知らねー。カカリチョー、お前知らないの?」

「すみません・・・勉強不足で」

「でさ、双子産んだら祝い金って倍にならへんのかなー」

「お、いいじゃん。仮に結婚祝いと同じだとしても40万?」

「な?ってことで、柴田アンタ妊娠したフリせえよ」

「え?私ですか〜?」

「ねぇ、あのいつも来る今井って双子生んでなかった?」

「そうや!アイツに聞いたらええやん」

「どうせならさ、五つ子とかにしない?五倍だよ?五倍」

「いやー、さすがにばれるやろ〜。腐っても警視庁やで?」

「意外に柴田に変な行動起こされるより、だまされて育休取ってもらったほうが一係の皆さんの為だよな」

「ひっどーい!まるで私がお荷物みたいじゃないですか〜」

「あれ?自覚ないの?」

 

「なぁ、柴田が無理やり妊婦のフリするより、もっとええ方法思いついたんやけど」

「何だよ、木戸」

「どっかの妊婦連れてきて、金太郎の子供妊娠したっちゅーことにすればええんちゃう?」

「お。それいいじゃん」

「ついでに籍入れたことにしたら、結婚の祝い金も出るやん」

「表面上は京大の童貞イメージ払拭されるし?万々歳じゃん」

「実際は童貞のままやねんけどな」

「あの〜でもそれって・・・犯罪ですよね?」

「何ごちゃごちゃ言ってんねん。アタシら命かけてこの仕事やってんねんで?それくらいの見返りないとやってられへんわ」

「お前みたいな高給取りのエリートキャリアさんはね、嫌だったら参加しなくていいの。ってか嫌なら参加して来んな!」

「そーや。分け前減るやんか〜」

「ひっどーい!わたしだってお金ほしいです〜!!」

「じゃあ、文句つけるんじゃないよ、馬鹿」

 

「よっしゃ!頑張って警視庁から金ふんだくるでー!」

「なんだかわくわくしちゃいますねぇ・・・うふふ〜」