43:義理
○月×日。天気、曇り。 今日は、僕の大切な日。 僕のチョーラブラブスイートハニー、雅ちゃんのご両親に挨拶をする日。 将来の義理の両親になるから、ちゃんとしなきゃね。 ああ、チョー緊張する。救心飲んじゃおう。
「光っちー。超久しぶりー。会いたかった〜」 「久しぶりって、昨日も会ったよ。雅〜」 「ん〜、でもでも。雅、光っちに毎日でも超会いたいんだもーん」 「雅ー。僕もチョー雅に会いたかったよ」 がばっ。
「・・・おっほん」 「光っちー」 「雅ー」 「・・・おい」 「・・・ん?あ!お、義父様!!」 「君に『お父様』などと呼ばれたくないんだが」 「うふふ、仲良しねぇ。二人とも」 「ママー」 「君は人の家の玄関先で何をやっているんだ?」 「人の家じゃないじゃーん。雅の家の玄関だもん。いいじゃん。ねぇ、光っち〜?」 「ねぇ〜?」 「あらあら。本当に仲良しなのねぇ。ねぇ、お父さん?」 「『ねぇ』じゃない!!何を言うんだ母さんまで!!」 「パパー、光っちはねぇ〜、雅の〜超ラブラブなダーリンなの。よろしくー」 「よろしくお願いします。お父様」 「だから『お父様』なんて呼ばないでくれ!!」 「光っち、よかったね。もっとフランクに『パパ』って呼んでいいって」 「パパ、よろしくお願いします」 「誰が『パパ』って呼べって言った!!」 「え〜?パパが言ったんじゃん?ね〜、光っち」 「ね〜、雅」 「うふふ、まるで新婚時代の私たちみたいですね、お父さん」
「・・・もういい・・・大体、君いくつなんだ?」 「光っちはぁ、今年なんと・・・60歳でーす!」 「60歳!?」 「あら、還暦ですねぇ。おめでとうございます。光っちさん」 「あ、どうもご丁寧にありがとうございます。お母様」 「ママ、還暦ってな〜に?」 「ちょっと待て!!60歳って言ったら・・・」 「還暦でしょう?お父さん。ちゃんちゃんこ用意しないとですね」 「あ、お構いなく。お母様」 「だからぁ〜、還暦ってなーに?」 「そうじゃないだろう!!60歳って言ったら・・・」 「あ、じゃあ光っちさん、会社の方は・・・?」 「定年になります。あと数日で」 「光っち、卒業するんだよね〜?」 「母さん、雅!!ちょっと黙っててくれないか!?」 「お父さん、そんなにかっかすると血圧が・・・」 「うるさい!!大体、コイツのほうが年上じゃないか?」 「あ〜、パパ駄目だよ〜。『年上の人は敬いなさい』って雅、学校で習ったよ? 年上を『こいつ』って言っちゃ怒られるんだよ〜」 「そうですよ、お父さん。雅に正されるなんてみっともない」 「いえ、私は別に構いませんので・・・」 「ほら、お父さん。光っちさんに気を遣わせて・・・すみませんねぇ、光っちさん」 「パパってば超最低−!!」 「いや、だって・・・」 「もういいよ、雅の部屋行こう?光っち」 「でも、お父様が・・・」 「いいんですよ。この人。娘の彼氏ってだけで機嫌悪くして・・・いい歳して恥ずかしいわ。全く」 「いい歳って・・・コイツの方が」 「あ〜!!パパまた光っちのこと『コイツ』って言った〜」 「もう!一度言ってもわからないなんて・・・ちゃんと謝って下さい、お父さん」 「え?俺が?」 「いえ、本当にいいですから、お母様」 「お父さん!!」
「・・・す、すみません・・・でした・・・?」
「やれば出来るじゃないですか、お父さん」 「ホント、今日のパパ超イケてるよ」 「あ、ありがとう。雅」 「じゃ、雅の部屋行こっか?光っち」 「う、うん・・・」 「さあさ、どうぞ上がって下さい。光っちさん。お父さん、スリッパ出してさしあげて」 「あ、ああ」 「すみません、お父様。お邪魔します」
結果:雅ちゃんのパパは、常識的な人だったが、雅ちゃんと奥さんに弱かった。 ・・・何とか上手くやっていけそうだ まる 野々村光太郎
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