39:ラブストーリー 

 

 

 

 

誰が予想しただろうか。

この、愛すべき女と無愛想な男が恋に落ちるとは。

 

けれど誰も予想が出来なかったこのラブストーリーを、アタシは一人だけ予感していた。

それは、言葉に上手く言えないけれど、確かな予感で。

 

「なー、なー、柴田」

「なんですか?彩さん」

「アンタ、初めて真山さんに会った時どんな感じやった?」

「え?真山さんと初めてあった時ですか?」

「そうや。よお言うやんか?運命の人と会った時ってピーンと来る、言うて」

「あー・・・うーん・・・どうでしたかね?あんまり憶えていないかもしれません」

「はぁ!?そんなもんなん?おもろないわ」

「あ、そういえば・・・」

「何?なんか思い出したん?」

「そういえば、真山さんだけ、でした」

「なになに?鐘がゴーン鳴ったとか?天使がふ〜わ〜って飛んだとか?」

「あ、そういうのではなくてですね。真山さんだけ言ってくださったんですよ『よろしく』って」

「・・・それだけ?」

「はい。それくらいですかね〜?」

「なんじゃそりゃ」

「あれ?どうかしましたか?彩さん」

「・・・じゃあ、初めて真山さんに運命感じた時っていつやねん?」

「・・・・・・・運命、ですか?」

「何や、その間」

「・・・そんなこと、人には言えませんよ〜」

「・・・・・・・・」

「やだぁ、もー、彩さんってばー」

「絞め殺したろか?ホンマに」

 

 

「なあ、真山さん」

「何だよ」

「初めて柴田見たとき、なんて思うた?」

「は?何それ」

「ええから。教えて。な?」

「なんとも」

「照れなくてええやん」

「いや、別に照れてねえよ」

「は?じゃあホンマになんも思わんかったん?」

「うん。っつーか、そんな昔のこと覚えてると思う?」

「・・・アンタもうそんな歳なん?」

「木戸。撲殺と銃殺、どっちがいい?」

「なんかないん?好みやとか好みやないとか」

「汚ねーなーとは思ったかもだけど。あ、そういや・・・」

「何?やっぱ運命感じた?リンゴーンて鐘鳴った?」

「70のBくらいかなーって思ったんだけどさ、あとで聞いたらアイツ生意気にもCあるらしいよ?」

「は?」

「いやー、俺としたことが厚着に騙されたね。カンが鈍ったかなー?」

「真山さん、アンタ・・・」

「ん?お前の当ててやろうか?」

「ええわ・・・あんたらと話すとアタシアホみたいやし」

「なんだよ、自分で聞いといて。失礼だよ」

 

「・・・なんや、アタシだけやったんか・・・?」

 

 

愛すべき女と、無愛想な男の織り成す、いびつで粗野で、

でもとびきり純粋で尊いラブストーリー。

 

アタシはそれを出来る限り見届けようと思う。

女を心から尊敬し、男を心から愛したアタシだから。

見届ける権利も義務もあるやろ?

 

もうちょっとしつこく付きまとわせてもらうから。

覚悟しててな?柴田。真山さん。