35:利子 

 

 

 

「あ、財布忘れちゃいました」

「…ふうん。で?」

「ちょっと…お金貸していただけませんか?」

「何で?」

「のど渇いてるんですよ〜柴田スペシャルもうなくなっちゃって…いいじゃないですか、150円くらい〜」

「何?贅沢だね。ペットボトル?」

「え…?だめですか?」

「利子高いよ?」

「…覚悟してます」

「あっそ。じゃあ貸してやるよ」

「ありがとうございます」

 

 

「はぁ、ただいまです〜」

「だから〜、お前ん家じゃないでしょ?ここは俺の家、ね?」

「こんばんは〜、金魚さん」

「お前ね、人の話聞けよ」

「なんだか眠いです…」

「無視かよ…寝る前に風呂入れよ。ベッドの中入れねぇぞ」

「は〜い…あれ?」

「何だよ」

「お財布、見つけちゃったんですけど…」

「ああ、ウチに忘れてたんだってことでしょ?そんなことじゃないかと思ってたけど」

「さっきお借りしたお金、お返しますね。…ひゃく…ごじゅう円でしたよね?はい!」

「…それだけ?」

「え?・・・ああ、『ありがとうございました』」

「礼じゃねぇよ。他にあるでしょ?ほら」

「あ、利子…ですよね?いくらですか?」

「・・・お前、なんでも金で解決すると思ってるわけ?」

「え?だって・・・借りたのはお金ですし・・・きゃ!なんでボタン外してるんですか〜!?」

「こういうときはね、決まり文句があるんだよ。知らない?」

「・・・決まり文句ってなんですか?」

「『体で払ってもらおうか、お嬢さん』」

 

「・・・なんか真山さんオヤジみたいです〜」

「うるせぇよ!どうせオヤジですよ。俺は」

「認めないで下さいよ〜」

「お前が言ったんじゃん」

「ひゃっ!・・・真山さん、ブラジャー一瞬で取らないで下さいよ〜」

「テクだよ、テク。・・・お前またでかくなった?胸」

「え?・・・太ったんでしょうか?」

「お前はもうちょっと太れ。肋骨とか痛ぇよ」

「真山さんだって細いじゃないですか〜」

「俺はいいんだよ。ビール腹とかなったら嫌でしょ?」

「ああ、オヤジ臭さに拍車が・・・あいたっ」

「太っててもいいですよとか言えない訳?」

「別に太った真山さんが嫌とか言ってないじゃないですか〜」

 

「おまえがタイツはいてると冬が来たな〜って思うよ」

「冷えは女の敵なんですよ〜?」

「・・・でもさ、そろそろやめない?これ」

「え〜?履いてると履いてないとでは全然温かさが違うんですよ〜?」

「でもさ・・・」

「どこがダメなんですか?」

「脱がしにくい。破っていいならそれはそれでいいけど?」

「も〜、じゃあ自分で脱ぐからいいですよ〜」

「駄目。脱がせるのも男の楽しみなんだから。邪魔すんなよ」

「なんかますます変態っぽ…あいた!!」

 

「腕時計も・・・取っちゃうんですか?」

「うん。邪魔でしょ?」

「そんなに邪魔にはならないと思うんですけど」

「気が散るんだよ」

「秒針の音がですか?真山さん意外にデリケー…いたっ」

「意外には余計だよ。気にならない?『俺、何分でイったんだ〜』とかさ」

「あ、そういうことですか」

「早漏だったら嫌じゃん」

「え?真山さん早漏なんですか?・・・いった〜!!」

「失礼だよ!!違うでしょ?いつもヤってるんだからそれくらいわかるでしょ?」

「だって・・・私真山さん以外の人とセックスしたことないし・・・」

「あ、そっか。お前俺が基準になるわけね。基準が高くてかわいそうだね〜」

「・・・高いんですか?」

「まぁ、低くはないんじゃない?」

「え〜?」

「何だよ、その疑いの目は」

「私が何もわからないと思って嘘ついてません?」

「嘘じゃねぇよ!お前いっつもすーぐイクくせに何言ってんの?」

「え?私早漏なんですか?」

「女は早漏って言わないんじゃない?・・・まぁ、よく言って『感度抜群』?」

「それっていいことなんでしょうか?」

「さぁ?・・・マグロよりはいんじゃない?」

「マグロ・・・ああ、不感症のことですね」

「お前、なんかマグロそうなのにマグロじゃないよね」

「そうでしょうか?・・・あっ・・・」

「ほらやっぱり。感度いいじゃん」

「茶化さないで・・・くだ、さ・・・」

「はいはい、じゃあちょっと集中しますか?」

 

 

「・・・柴田」

「な・・・ん・・・ですか?」

「まだあったよね?ゴム」

「はい・・・多分鞄のなかに」

「じゃ、ちょっと待ってろ。取ってくるから」

「あぁ・・・」

「何だよ?名残惜しいの?俺の指」

「・・・はい。ちょっと・・・」

「ふぅん。お前もやらしくなったね」

「真山さんのせいですよぅ」

「お前の本能だろ?素質がなきゃ、いくらいいコーチがついててもそこまで立派になりせん」

「立派ですか?」

「うん、大したもんだよ。エロマスターだね」

「・・・なんだか褒められてる気がしないんですけど・・・」

「気にすんなって・・・おい、なかなか見当たらないんですけど、ゴム」

「え?あ、そういえば・・・私それを買うつもりでコンビニに行ったんでした〜」

「お前バカ?飲み物なんかいいから、それ先に買えよ〜・・・」

「すみません・・・」

「すみませんじゃないよ・・・今日はここまでだな」

「え〜〜?」

「え〜ってお前・・・ナマでやるわけにいはいかないでしょう」

「それはわかりますけど・・・」

「俺は別にいいんだけどね?むしろ大歓迎?」

「え?それって赤ちゃんが出来てもいいってことですか?」

「うん。俺には関係ないもん。子育て頑張ってね〜、柴田」

「真山さん酷いです・・・」

「おい、泣くなよ」

「真山さんのばか〜」

「はいはい。わかったから泣くなよ。面倒臭え〜」

「だって真山さんが・・・」

「俺だって泣きたいよ。ここまで来てセックスできねぇなんて」

「ぷっ」

「何だよ、泣いてるんじゃなかったのかよ」

「だってなんか・・・真山さんが可笑しくって」

「はいはい。コドモで悪かったな」

 

「真山さん」

「何だよ」

「セックスできなくっても、こうやって裸で抱き合ってるだけで気持ちいい、ですね」

「まぁね。お前が胸でっかくてよかったよ」

「ふふ、真山さんの匂いがする」

「柴田さんの臭い頭の匂いもする」

「もう〜」

「たまにはこんなのもいいですね」

「たまにならね」