20:ノイズ  

 

 

 

優希

 

愛している

 

その言葉が、僕の気持ちに当てはまるとかはわからないけれど。

 

君が大切なんだ。

 

逢えなくてもいい。

 

言葉を交わさなくても。

 

ただ、君が生きていれば、僕も生きていける。

 

君が梁平と幸せになればいいと何度も思った。

 

僕には君を愛する資格がないから。

 

梁平なら、君を安心して任せられる。

 

けれども、もう一人の僕の中の僕が叫ぶ。

 

「アイツにだけは渡したくない」

 

矛盾だね。わかっているんだ。

 

自分では君を愛する資格がないといいながら、

 

だれよりも君を欲していたのは僕のほうだったんだ。

 

君が生きていればそれでいいと言いながら、

 

誰よりも、君に愛されたがっていたのは僕のほうだったんだ。

 

 

 

優希、優希。僕の女神。

 

いつか、僕の方を見てくれるんだろうか?

 

僕に、気付いてくれるんだろうか?

 

気付いて欲しい、けれどもこれ以上近づきたくはない。

 

「資格」がないことに悩むのは目に見えているから。

 

だから僕は、ここから見守る。

 

君が、気付かないようにそっと遠くから。

 

街の騒音にまぎれて。

 

僕のこの気持ちも、ノイズだと思って気づかなければいい。

 

 

けれど、僕は君を、ずっと見ている。

 

いつでも、君だけを。