09:結婚
「柴田、待たせて悪いね」 「いえいえ。でも銀行なんかで何してたんですか?真山さん」 「金下ろして来たんだけど?」 「ああ、なるほど」 「あー、金ない。貧乏ってやだ。柴田、お金ちょうだい。お金」 「え?嫌ですよ」 「何だよ、おい。シケてんなー。いいじゃんちょっとくらい。ね?」 「いつもご飯おごってるじゃないですかー」 「ん?あれは当然。付き合ってやってるじゃん。捜査に」 「捜査はお仕事じゃないですかー」 「定時過ぎてからの捜査はお仕事じゃないの。知ってる?俺あんなに身を粉にして働いてるのにさ、残業代一切出てないの」 「私もそうですよ?」 「お前の場合さ、もうあれが趣味じゃん。捜査してて楽しいでしょ?」 「はい!」 「ね?俺は全然ちっとも一切楽しくないの。だからせめて飯ぐらい奢ってもらってもいいでしょ?」 「なんか納得行かないなぁ・・・」 「いいんだよ。お前が納得行かなくても。俺が納得してれば」 「えー?でも真山さんだっていいお給料頂いてるじゃないですか。私知ってますよ?」 「あー、お前上司だっけ?一応」 「はい。あれだけ貰っててどうしてそんなに貧しいんですか?」 「煩いよ。色々大変何だよ。家賃とか光熱費とかさぁ」 「あ、成る程」 「実家暮らしのオジョウサマにはわかんないんだろうけどね」 「煙草代もバカにならないしねー」 「禁煙したらいかがですか?」 「・・・やだ」 「もー。体に毒ですよ?」 「お前、最近ずっとウチにいるんだからさ、家賃半分持とうとか思わないわけ?」 「あんまり思わないですねぇ」 「思えよ!ってかさ、お前はさぞかし貯金あるんだろうね。実家だし、キャリアだし?」 「実はよくわからないんですよねー。お金とか貯金とか」 「は?」 「私、そういうの一切を母に管理してもらっているんですよ」 「それくらい自分でしろよ。いくつだよ?お前」 「24です」 「・・・知ってるよ。いい加減自立しなさいってこと」 「自立・・・してるつもりなんですけどねぇ」 「どこが?」 「・・・・・・」 「あー、誰か金くれねえかなぁ・・・金」 「まだ言ってるんですか?」 「あー、結婚でもしようかな?20万もらえんだろ?確か・・・」 「・・・・・・・」 「何赤くなってんの?」 「え?だってそれって・・・」 「ああ、心配しないで?冗談だから。冗談」 「・・・ですよね?」 「当たり前じゃん。何お前結婚したいの?」 「・・・そりゃあ・・・まぁ・・・」 「ふーん」 「真山さんは?結婚」 「興味ないね」 「そうですか・・・」 「何落ち込んでんの?」 「なんでもないです・・・」 「あれでしょ?お前はどっかの白馬に乗った王子様と結婚するんでしょ?関係ないじゃん」 「むー」 「何だよ」 「私は・・・素敵な人とと結婚したいわけじゃないんです」 「へぇ?」 「ただ、大好きな人とずっと一緒にいたいだけなのに・・・」 「・・・ふぅん」 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 「同じ部署で職場結婚したらさ、どうなるか知ってる?」 「え?」 「知ってる?」 「・・・いいえ?」 「どっちかがさ、絶対飛ばされるんだって」 「…はぁ」 「別に俺はいいんだけどね。困るでしょ?お前が」 「どういう意味ですか?」 「弐係出るのと、俺以外のヤツと捜査行くのとどっちがいい?」 「・・・どっちも嫌です」 「でしょ?お前意外と欲張りだもんね」 「あれ?真山さん?」 「さーて、メシ食いに行くか?」 「真山さーん?」 「今日何食う?カツ?ラーメン?」 「じゃあ、ラーメンで・・・って真山さーん待ってくだいよー」 「置いてくよー?」
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